ほろほろと鳴く山鳥の声聞けば、父ぞ恋しや、母ぞ恋しや、曾我の十郎祐成、弟五郎時宗は、過ぐる18年前に伊豆の赤沢山の麓で、父河津三郎祐重が工藤祐経に討たれる。
父の恨を報ぜんと18星霜の長い間兄弟がなめし、艱難辛苦を紹介し、降りしきる雨を幸いに夜廻り姿に変装し富士の陳屋に討ち入り、父の無念を晴らし、母の胸を安んぜんとする。
兄弟愛の物語であります。